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こうして、京の夜は更けていく

先週も終わりの金曜日、奈良に出張がありました。
奈良や京都への出張なんて滅多にないので、こりゃ満喫せねば!でも、明らかに日帰り出張の時間帯なので宿泊はできない!ならば、夕食に命をかけるしかない!
...ということで、京都駐在が長かった同期の“ザ・デキるオトコ”であるところのYNGくんに、朝「イイミセ、オシエテクダサイ」メールを出して、待つ。

こういうときに、全国区の会社の元・営業職で良かったなぁと実感する今日この頃。
北海道から沖縄まで、同期や先輩やらが、数年単位で仕事をしていた経験を持っているので、行く先々で“美味いモノ情報”が手に入るのだ。
それが「学生時代に4年間いた」だと、心もとないことが多い。
なぜって、学生時代に食べるものや生息する場所や懐具合は、明らかに社会人のそれとは違うので、参考にならないから。
私だって学生時代、花の渋谷周辺に居たはずなのに、当時当たり前だがまったくお金がなかったので(すべて印画紙とフィルムに消えていた)、じぇんじぇんいい店を知らない。
私の持ってる青山の街情報といえば、紀伊国屋の2階で売ってるドイツパンは腹持ちが良くていいとか、R246から一歩入ったところにある店なのに、その中華料理屋は自分で器を運ぶと、もれなくゆで卵がついてくるとか、渋谷ど真ん中の飲み屋なのに、フロア貸切りの座敷でどんなに飲んでも時間無制限で4000円とか、そういう情報しかないのだ。
だから、青山の街情報はあてにせんでください。皆さま。

さて。
そのデキるオトコのYNGくん。
彼は、その同期の中でもひときわ光る、確かなる舌と審美眼を持つ者である。
「この店は、中華そばとデミカツ丼が有名だ」って言ってるのに、一人だけ一番高い「タンシチュー」を頼み、それが大当たりで羨望の眼差しを一身に浴びる、ということを易々とやってのける。
「いい店を教えてほしい」というリクエストは、実は大変に難しいものである。
予算、店の雰囲気、駅からの距離の感覚。
それからここからが高度なのだが、そもそも店の味、店員のホスピタリティ、酒の種類。
だが、こんな彼だからこそ、この高度な選択をゆだねられたと言うものである。

こうして、京の夜は更けていく_e0030737_2232368.jpg私の大変少ない情報(「四条木屋町のNみたいな店」)からすべてを察したデキるオトコは、数時間後、私に一本のメールを送ってきた。
しかも、店の人とやり取りして、半予約状態で!
さすがです。
そして、我々はのちに、さらに彼のデキるオトコぶりを、確認することになるのだっ!
...なぜか。
それはもう、そのお店が美味かつホスピタリティ満点だったからです。

紹介された、錦新町の「M」。
路地にひっそりと現れた、こじんまりとしたおばんざいやさん。
私たち関東人にとっては、ザ・京都なオーラをばんばんに発しています。もちろん、お上品なオーラだけど。
障子を開けると、そこは落ち着いたお座敷。「ここはいい、絶対」と確信した。
おかみさんとYNGくんとの間で話はついているので、歓迎されて乾杯!
並んだおばんざい、「端からぜんぶちょうだい」と、ヴィトン本店でのジャポネのようにオーダーしたくなるほど、つややかで、ひたすらうまそうなのです。

こうして、京の夜は更けていく_e0030737_2275194.jpgそっから終新幹線までの2時間、ひたすら食べ続け、飲み続けました。
ほとんど、箸を置くことはなかったなぁ。
おかみさんが旬の京の素材を仕入れてこしらえた、至極のおばんざい。
茄子大好きな私としては、「みずなすの漬物」がほんまにうまかった。
「ええ、京のひとも、美味しい言うてくれはります」。 うーん、おかわり!
観光客の訪れない、静かだけどちょっと背すじの伸びるそのお店で、いい器といい料理といいお酒と、そして素敵なおかみさんに、酔いしれた一夜でありました。
by nattomaki27 | 2006-10-22 21:58 | 食べもの
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